墓をどうしたいのか問題
今回はこちらのブログ記事を読んでの書き込みになります。
この方の文章で目からうろこが落ちたのがこちら
両親にとって墓参りは「するのが当たり前」なことであって、そこに何か強い想いがあるわけではないのでしょう
墓はいらないけれど、両親の気持ちは気にかかる
子供は墓それ自体よりも、墓を気にする両親のほうが気になる。
両親も、墓を気にする子供のことが気にかかる。
どこの家庭もきっとそうなのでしょう。文章にしてもらってより理解できた気がします。
墓の扱いに苦慮するのは、宗教的な問題でも、地理的な、物理的な制約ではない。
結局は生きている人間の問題なんですよね。
お墓に対して、とれるアクション
たまには、ためになる情報でも書いておこうという試み。
地方の過疎化、人口減少にダイレクトに関わる問題だと思うので。
お墓で困っていることがある人も、今後困ることがある人も、読んで損はないと思います。
※地域、宗派によって大きく異なることがほとんどです。飽くまでも一例としてお考え下さい。
菩提寺の住職さんに「直接」聞くことが一番確実であることをお忘れなく。
※余談ですが、山口県のお寺事情は全国的にも結構特殊です。
特定の地域に真宗の寺院が極端に多い、ほぼ禅宗の寺院しか存在しない、なんて場所もあれば
岩国市は広島(安芸門徒)の風習を色濃く受け継いでいたり、逆に下関市は九州の影響があります。
日本海側や中南部のいわゆる「陸の孤島」*1のような場所では、そこ独自の作法を確立していることもあります。
「お墓をそのままにする」場合
本人や子息、親戚がお墓参りできるのであれば、無理に動かしたり処分する必要はありません。
墓地の回りを定期的に清掃して、管理手数料があれば支払うことで誰も困ることはないと思われます。
必要であれば、管理者や気のおける知人などに、清掃を代行してもらうこともできるでしょう。
ただしお墓参りや清掃が困難な立地条件である場合は、移設を検討したほうがいいかも知れません。*2
「お墓を移設する」場合
移設先として考えられるのは、寺院境内、共同墓地、個人の土地ということになります。
寺院の境内地であれば、菩提寺であるかどうかは関係なく、一定のアフターケアを期待できます。
ただし菩提寺ではない寺院の場合は、どちらの住職さんにも断りを入れたほうがいいでしょう。
こちらにその気がなくとも「墓を建てる=檀家になる」とか「墓を移す=檀家をやめる」と判断される可能性もあります。
また、お墓勤めをどちらが行うのか、永代使用料、護寺会費の有無なども確認しましょう。
共同墓地では、管理者との契約内容をよく確認することです。
指定の墓石業者しか使えない場合もあれば、特定の宗派しか入れないこともあります。
寺院の境内地よりはビジネスライクにお客様気分で気軽に選ぶことができますが
やはり移設前後のお墓勤めの関係もあり、事前に住職さんへ相談しましょう。
また、たとえば福岡のお墓を東京に動かす、などとなればもう少し話は複雑です。
檀家を継続するのか否か、移設先で新しい菩提寺を探すのか、移設後のお墓勤めの問題など。
菩提寺の住職さんから紹介してもらったり、今後の付き合い方を相談することになると思われます。
最後に、個人の土地へお墓を移す場合。これは問題となるのは法律上のことだけです。
すべての移設に関して自治体の発行する「改葬許可証」が必要になりますが
この場合は「自治体の条例に従う」ことと「周辺住民の許可」が加わります。
端的にいえば、現存している個人土地の墓は半ば強引に建てたお墓ということになります。
かかる費用は他の移設先と変わらないのに、条件だけは厳しいものになっているので*3
どうしても自宅から近い場所にお墓参りをしたいのであれば、自宅内にお骨を安置したほうが良いでしょう。
「お墓そのものを処分する」場合
今流行りの「墓じまい」というやつですね。
その性質上、お寺を介さない、知られたくないという人も多いですが
可能な限り菩提寺の住職さんに相談することを強く推奨します。
墓じまいを請け負う業者が、まともな業者かを判断するのは素人にはまず不可能です。
便利な合同墓、納骨堂などを紹介してもらえることもあったり、後々まで遺恨が残ることもありません。
特に親戚が後から文句を言ってきたりするケースでも「当事者の私が、菩提寺の住職に相談して決めた結果です」と言えば、収まりがつきやすいこともあります。
お墓の処分、移設に際してお寺の仕事
これは本当に地域や宗派、また住職さんの考え方次第で変わってくるのですが
お墓を処分、移設前、移設後にお墓勤めが必要なことがほとんどです。
「うちはどこの檀家でもない」「建てるならともかく、処分や移動でお寺は関係ない」と思っている人もいますが
お墓が建っている時点で、厳密にはどこかのお寺にお世話になっているはずです。
宗旨の違いや考え方からお坊さんを呼ばない場合でも、断りをいれるべきでしょう。
お墓を建てた時、葬式をした時、納骨をした時、誰を呼んだのか分からないのであれば
それはお墓の処分や移設のタイミングとしては手遅れだったということです。
葬儀屋さんや親戚などから、なんとしても聞き出しておきましょう。
また、よほどのことがない限りは菩提寺から高額のお布施を請求されることはありません。
永代供養、墓勤めを行うのであればその際のお布施はお供えするべきですが
離檀料なる概念は、一部の迷惑な檀家に対するストッパーのようなものです。*4
少なくとも、私の見聞きする限りでは、戒名料や離檀料を支払うのが当たり前であったとしても
支払った金額に文句を言う、あるいは金額を向こうから指定してくることはありえません。
葬儀屋や墓石業者はサービス業として消費税を含めた金額を請求できる権利がありますが
寺院には「お布施です」と言われて差し出されたものに、注文をつける権利はありません。*5
いくら支払うべきか分からなければ、こちらから相談してみることです。
ネットで検索した情報は90%以上が地域性による違いから、てんで見当違いなことが多いです。
何度も繰り返しになりますが、お墓のことはお寺に聞く、これが一番確実です。
誰にとっても最適な答えになるよう、一緒に考えて下さるはずです。
それでもなお誰に聞いていいのか分からなければ、私がお力添えできるかもしれません。
かも、しれません。