数字の話
リテラシーについて考えるとき、日本人は意外と数字を読み取るのが苦手だと思うのです。
もともと日本語自体が正しく読み取るのに高い能力を求められることに加えて
客観的、合理的という言葉に弱い傾向があるからでしょうか。
特に「統計データ」なんて書かれた日には、さぞかし大人数の監修のもと
これ以上ないほどの正確な数字が、最終決定のごとく登場しますが
ふたを開けてみると、二人くらいでゆるーく集計した数字で
しかも集計前の数字が間違っており、集計の仕方を間違えており、最終的な打ち込みを間違えて
さらに、その数字を関係ないところで利用する人が出てきたりして
むしろ数字のほうこそ疑ってかかるべきなんじゃないかと思うこともあります。
※今回は新聞読みながらする独り言とか、晩酌しながら見るワイドショーレベルの話です。
統計を印象論で語るという噴飯レビューであることをあらかじめ申し上げておきます。
たとえば、食料自給率などは有名な話です。
随分前から39.6%、39.8%と40%を切っていたにも関わらず
小数点切り上げによって長らく40%と言われていましたが
39.4%と四捨五入で39%になった途端、こぞってマスコミが不安を煽る報道を連発しました。
「私たちの食料は6割も海外に頼っている、世界情勢によっては国民が飢え死にする!」などが代表的な主張です。
自給自足率と誤解している例ですね。カナダなんか260%超えてますけどどう説明するんでしょう?
そもそも算出方法を知ってる人っているんでしょうか・・・?
この数字はカロリーベースで集計しているため、極端なことを言えば
日本食は低カロリーな食事が多いので、欧米の高カロリー輸入食品が自給率を下げる
と言い換えることも可能なわけです。
さらに、人間の口には入らない家畜の飼料も集計されています。
豚とか牛とか食肉用家畜のエサなんだから高カロリーでさらに自給率を下げます。
そもそも日本は内需で持ってる国なんで、世界情勢が不安になるほど食料危機に強いって見方もできますよね。
輸出用のトウモロコシ大量生産で食料自給率上げてる国なんかは大打撃なわけですし。
最近はこの考え方も発展してきて
「生産額ベースで見た日本は世界的な農業大国だ」について論争が起こってるようです。
なんだか論争を生むために作った数字なんじゃないかと思えるレベルです。
最近の話でいくと子供の貧困率なんかも、アレ?と思いました。
これって誰が対象でどう定義されてるか知ってる人いましたか?
18歳以上65歳未満が対象ですよ。
この数字って主に子育て世代の問題に使われる数字でしょ?65歳で孫のいる夫婦が子育て世代ですか?
「子育てがとっくに終了して、貯蓄もある金持ち層」を母数にいれちゃダメでしょ。
さらに定義方法は「所得が中央値の半分に満たない世帯の割合」なんですが
これって年収100万円の世帯に子供が一人いた場合、年収1億円の世帯に子供100人いないと、どうしても高くなったりしませんかね?
私は日本において貧困が存在しない、まして貧しい子供は存在しないとは思いません。
失業率や生活保護の問題もあれば、教育に関する意識も変えていくべきだと思います。
しかし、問題を問題化することを目的とした捏造で何かが解決するのでしょうか。
喜ぶのはコンテンツに飢えているマスメディアとその消費者だけですよね。
数字で一喜一憂するのはもう時代にそぐわないのではないでしょうか。
随分前に「世界の幸福度調査」の報道を見て強く思いました。
感覚を数値化して、平均化した数字に、価値なんか1ミリもないと思うのです。