集落支援員の憂鬱
集落支援員は焦っていた。
時折勢いよく吹き込む風が、窓ガラスに雨粒をぶつける。
そのたびにPCモニタから目を外し、窓を見つめてため息をつく。
窓へ向けた視線は、そのまま壁の時計へと移り、また次のため息を生む。
「仕事を探すのが仕事」
呪文のように口をついて出た言葉は、期待と不安をないまぜにした、数ヶ月前の自分を想起させる。
今の自分はどうだろう。仕事をしているように見える仕事を探すのに精一杯ではないだろうか。
晴れた日は外をうろついて、センターの点検、地域の巡回、いくらでも理由はつけられた。
雨が降るという、ただの自然現象の前には、仕事らしい仕事など皆無に等しい。
センターの利用団体が唐突に笑い声を上げた。何やら楽しげな話題があるのだろう。
彼女たちにとって、外の雨音は盛り上がりを強調するスパイスに過ぎず
私にとっての雨音は、退屈さを強調して焦りを呼ぶ喚鐘にも等しかった。
雨が降る。湿度を持った焦りを運ぶ、雨が降る。
何だこれ。
おかしいな・・・。ちょっとウィットに富んだ小話を入れるつもりが
お薬が必要な人みたいになってしまった。
みなさーん!センターに遊びに来るなら雨の日がチャンスですよー!
柳井の地域おこし協力隊、白木さんが集落支援員の話題を取り上げてくださいました。
似ているようでちょっと違う、協力隊と支援員。
白木さんの言葉を借りつつ、少し比較してみると
協力隊
勤務先・・・勤務内容により役場から勤務先へ出勤する。
勤務内容・・・自治体側で要請し、委嘱する。
対象・・・都市部に居住していたUJIターンによる移住者。
活動期間・・・原則1年以上、3年以下。
支援員
勤務先・・・原則、公民館。(交流センター)
勤務内容・・・集落の点検、地元住人の話し合い促進。
対象・・・地域の実情に詳しい地元出身者。
活動期間・・・1年ごとの契約制。
こうして見ると、対象者の違いが大きいように見えますが
やってみて思うのは、勤務内容の違いのほうかなーと。
地元出身者と言っても、それがすなわち精通とも限らないですしね。
集落支援員には上司がおらず、また同僚も部下もいません。
同じ町内、市内を特定の地域に分け、複数の支援員を置いているところも多いですが
地域が変われば、支援内容も変わる、といったように同一の目標や働きをしづらい側面があります。
勿論、勤務内容が違うとはいえ定期的に情報交換は行っていますが
ほとんどの人は「あそこはああいう活動できて羨ましい」というのがあると思われます。
悪い言い方をすれば「あそこは仕事が楽そう、楽しそうでいいな」「でもうちでは同じことができないな」となります。
数値化された目標を作ることは簡単かもしれません。逆にサボろうと思えばいくらでもズルができるでしょう。
前進も後退もできない、そんな焦燥感を覚えることが時折あります。
悪いのは過疎化でも、少子高齢化でもない。
雨があがるのをただ待つような、指示待ち人間な自分の無力さなのかもしれません。